2000年10月21日(土)

「白内障、緑内障、黒内障」

高野台眼科 院長
船田 みどり先生


○黒内障(こくないしょう)眼の病気ではなく、脳外科の病気です。

症状気がつくと、痛みも無く片目だけまっくらで見えなくなっている。(他の人が見てもなんの症状もないように見える)
原因頚動脈(首)から動脈硬化によってできたゴロゴロの壁の一部が飛んで、目にいって眼動脈を ふさいだ場合、一時的に片方の目が見えないという症状が起こります。
2分〜10分程度でもとに戻りますが、この症状が一ヶ月あるいは一週間に1回という頻度の 人の3分の1くらいの人は、頭の方に血栓が飛んでいわゆる脳梗塞を起こしやすいのだそうです。

脳梗塞、脳出血の前駆症状といえますので、こういう症状があった場合には眼科もしくは 脳外科に相談してください。



○白内障(はくないしょう)「しろそこひ」といわれます。

症状眼のひとみ(瞳孔)の後ろにある透明な水晶体(カメラのレンズに相当するもの)が白く濁って くる病気です。視力が少しずつ悪くなってきますが、充血や痛みは全くありません。伝染するものではなく、また遺伝性のものでもありません。
原因眼の中で光を集める水晶体は透明です。この透明性を保つのにはエネルギーが必要ですし、代謝も 活発でなければいけません。加齢とともにこの力が弱まり、濁りが起きてきます。

白内障の発生頻度
60歳〜70歳〜85歳〜
発生頻度60〜70%80〜90%100%


症状1.はじめは… 本や新聞を読むとき眼が疲れる。人の顔がぼんやりかすんで見える。
眼科にとって、眼鏡を掛けて見えるものは、目が見えない病気とはいいません。 ですから、白内障を疑った場合も
まずはじめに視力の検査を行います。
眼鏡屋さんに行って、「ちょっと眼科に行って来なさい」と言われた場合は必ず行ってください。 それは眼鏡を作る商売である眼鏡屋さんが、眼鏡では視力が出ないから医者に行くことをすすめているからです。
症状2. つぎに… 視力がだんだん衰え、物がはっきり見えなくなり、さらに進行すると目の前にかざした手の指の数もわからなくなってきます。 ついに、明るい暗いしかわからなくなります。
濁り方は人によってまちまちで急に進む場合もあり、またほとんど進行しない場合もあります。 濁り方は、ほんとうに人さまざまです。10年間同じ状態のままの方もいれば、半年で見えづらくなる方もいらっしゃいます。
身体に病気はないのに白内障はあるという人、反対に病気はたくさんあるけれど白内障はない人。つまり、 白内障は身体の病気に関係無く進行するし、また進行しません。

白内障の薬
目薬カタリン、カリン系統
タチオン、グルタチオン系統
内服薬パチロン(唾液腺ホルモン)

  「目薬をさせば、白内障はすすまない?」
濁りの原因となるたんぱく質の結合を阻害したり、酸化反応を防いだり…目薬には「理論的に」効果があります。
しかし、「眼」は外界からいろいろなものが入らないようにできています。そのため、目薬も到達させたい眼の中まで なかなかしみ込んでくれません。
薬を長年つけていたけれども症状がすすんでしまった、というのはそういうためです。

ブルーベリーや目薬の木がなぜ良いのか、は科学的な実証はされていません。


老人性白内障の手術
嚢内摘出術濁ったレンズをそっくり取り出す
嚢外摘出術水晶体の下の薄皮一枚(後嚢)を残して残りの部分を取り除く
(最近はこちらが主流)

後発白内障
嚢外摘出術で眼内レンズを入れ、3ヶ月〜1年くらいでまた目が霞んできてしまった…。これは眼の中に残した薄皮(後嚢)が 濁ってきてしまったからです。後嚢は生きている細胞の集まりですから、濁る可能性もあるわけです。
でも、あきらめずにすぐに眼科にいってください。
非常に簡単な処置、ヤグレーザーという装置で5分もあればで半永久的に濁りを飛ばすことができます。
 
手術の時期
その方の生活状態や職業によってことなります。
いちばん早くに手術の必要があるのは、タクシードライバーの方。 一般の方は視力が0.4ないし0.5くらいになってから手術のお話をしています。
あまり早い時期にお話しないのは、1000人にひとりくらいの割合では眼の特異体質のために術後眼が見えなくなるという方も いらっしゃるからです。必要になってから手術する、というところが多いと思います。
 
どれくらいの年齢まで手術が受けられるの?
老人性白内障の手術は、視力が回復する見込みがあり、全身状態が良好であれば年齢に関係無く100歳の方でも可能ですが、 高齢になればなるほど医師との連携が必要になります。
(先生がある程度の年齢になられた患者さんにご紹介するのは東京都の多摩老人医療センターだそうです。)
 
手術は痛いのでしょうか?
眼の周りの局部麻酔をする場合と、ピンポイント麻酔(目薬)+ 白目部分の注射と2種類あります。
眼を反射的に閉じてしまったり、眼を動かしてしまうと危険です。そのための救護麻酔(眼を動かないようにする)もあります。 これは多少は痛いようです。
「痛くない」と帰ってくる人は医師の指示通りに眼が動かせる人。この場合は目薬の麻酔だけで済みます。
ただし手術はストレスが掛かるので、心電図をつけて腕から点滴をし、血圧をモニターしながら、さらに肩から全身の精神安定剤の ような注射をして手術を行うことが多いようです。
 
手術前に必要な検査や処置は?
入院前の一般検査は1ヶ月が有効期間ですので、手術の1ヶ月前に来るように言われると思います。
採血(血液のバランス、感染症の有無)レントゲン(心臓疾患や肺炎の有無)心電図(不整脈や心筋梗塞の有無)このようなストレスが かかったら全身に影響が出てしまうようなものがないかどうかを検査します。
それから眼の検査。(視力、眼圧、眼底。人によっては視野。)必ず必要なのは眼内レンズの度数を調べるために眼軸長を超音波で計ります。
 
入院期間は?
通常1週間以内。総合病院、大学病院では3〜5日くらいのところが多いようです。
日帰りの手術を行っているところもあるようです。
しかし、手術のあったその日に全身的な合併症(不整脈、心筋梗塞など)が多いと言われているため、大学病院などでは日帰り手術は 少ないようです。入院してもらえば何かあった時にすぐ院内で対応できます。
日帰りの場合、親切なところは提携している病院の内科を紹介してくれて「何かあったら電話しなさい。」と言ってくれますが、 なかなかそこまでできていないのが現状です。
日帰り手術ができる患者さんの条件は
近くに住んでおり、万一の場合にもすぐ医師と連絡ができ、指示通り対応できること
一人住まいの場合は、入院した方が安全です。
高齢者や身体に異常がある人、他に目の病気があれが通院手術は無理です。

盛り沢山のご講演の中から、ごく一部を掲載させていただきました。 nf kaneko