2001年3月17日(土)

「血尿と蛋白尿〜検診や学校検尿で血尿(+)といわれたら」

腎クリニック高野台 院長
大島 直 先生

突然の雨にもかかわらず、たくさんの方にいらしていただきました。
「血尿と蛋白尿」。すこしなじみが薄いお話かな? と心配してしていましたが、
みなさん学習意欲旺盛でいらしゃるようです。
今回もたくさんの資料をもとにお話してくださった大島先生。
そのごく一部になってしまいますが、ご紹介したいと思います。 (nf かねこ)


図1>腎臓の構造

これがおしっこが出来るまでの臓器、腎臓です。背中の腰のあたりに左右一対あります。
ここに心臓のほうから血液が流れてきて、血液から源尿というおしっこのもとが濾し出されて、
それが細かな臓器を経て流れてきて、尿管を通って膀胱を経て尿道から出てきます。
この過程のどこで血液が混ざっても血尿として判断されます。
腎臓で出てもそうだし、尿管で出てもそうだし、膀胱で血液が混ざっても、
どこから血液が入っても血尿と判断されます。


ひとつの腎臓に50万個〜100万個の糸球体があるといわれているそうです。
糸球体はザルのような作用をします。血液が糸球体を通ることでおしっこのもとが濾し出され、ボウマン嚢に
溜まります。それが尿細管へ入り、いろいろな物質を吸収、排泄し外に出てくるおしっこと
同じ物ができあがります。

患者さんにいちばんよく聞かれるのか「どうして血尿って出るんですか?」ということですが、
答えるほうも難しいんですね。
なぜならば原因がいろいろあるし、すごく細かい話しになって難しくなってしまうからです。
僕が言うのは「糸球体はたくさんあります。だいたい100万個近くあって、
この100万個は一生に使い切るくらいのつもりで神様が作ってくれたんですよ。
その糸球体は全部を使っているわけではなくて、だいたい30%〜40%を使って常に腎臓の機能を働かせているわけです。
そして糸球体は次第に年をとってくる、また使いすぎて壊れてくる。
そういう使えなくなってくる、壊れてくる糸球体が出てくるとそこから少しずつ血液が漏れてくる。」と、
こういう判断をしていただければいいかな、と思います。
このお話をすると患者さんは分かりやすいので、年のせいなのかな、と思われるかもしれません。

学校検尿でみつかる血尿の頻度と老人検診でみつかる血尿の頻度はまったく違うそうです。
学校では0.1%。老人検診では20%。ですから、血尿の原因のひとつとして腎臓の老化がかなり影響していると
考えられるそうです。

血尿とひとことで言ってしまって、小さいお子さんからお年をめされた方までひとくくりで考えてしまっては危険です。
あまり心配しすぎる必要がないのは、お年をめした方の血尿であり、若い人の血尿に関してはある程度きちっと調べて
いった方がいいだろうということです。

図2>血尿の基礎疾患と年齢分布

いちばん多いのは、説明のつかない一過性のもの。ですからたいがいの人はなんでもない、ということですね。若い
10代、20代、こどもの時は糸球体性の病気とあるいは尿路感染症が多いです。50歳以上になりますと悪性腫瘍。
成人はいろいろなものがありますけれど、尿路結石や感染症…みんなありますけれどね。
特徴としては高齢者、50歳以上の悪性腫瘍傾向と小さいこどもは糸球体性疾患や尿路感染症を疑って検査しなければ
いけないということですね。


蛋白尿はあまりありがたくない、と思っていただいてよろしいと思います。
血尿に関しては多少出ていても大丈夫ですね。血尿単独で病気が見つかる確率が3%〜5%くらいです。
蛋白尿単独で腎臓の疾患が見つかるのが6%〜8%くらいだったと思います。
血尿、蛋白尿両方とも出ていますと言われた人は70%の人に病気が見つかります。なので合わせ技はかなり悪い、と。

学校検尿で血尿プラス、あるいは検診、老人検診で血尿プラスと言われたらどうしたらいいだろうか? 
素朴なみなさんの疑問だと思います。程度によりけりなんですね。
基本的には全ての人に専門施設に行っていただいてよろしいと思います。
おしっこの再検査を受けていただきたいと思います。その検査の程度によって診断の方法を決めていく必要が出てきます。
絶対に行ってもらいたいという方は、
血尿と蛋白尿が両方出ている方。
目で見て赤いおしっこが出ている方。自覚症状を持って血尿が出た方。ちょっとした血尿であっても症状のある方。
無症候性であっても肉眼的血尿の場合は行ってください。
蛋白尿が出た方。この方達は必ず受診をされてください。
唯一様子をみてもいいかなという方は、去年の検診で血尿1+と言われた。今年もまた1+と出たな。
こういう人がいちばん悩まれると思いますし、実際いちばん多いと思います。
そういう方たちも来ていただいたほうが本当はよろしいんですけれど、数回診て尿の細胞の検査をしてだいたい半年に1回、
1年に1回そのくらいでいいですよと一般的には言われるようになります。
老人検診などで1+と言われたからといって、全く安心ではなくてとりあえず1回は専門の先生のところを訪ねてみて欲しいと思います。
それで大丈夫ですよ、と言われれば年に1回程度の老人検診、健康診断に戻っていただいてよろしいと思います。
ちょっと具合が悪いので、もう少し検査しましょうと言われた。ひととおり尿の細胞の検査、血液検査、超音波の検査を受けました。
という人達は3年〜5年保証いたします。そういう人達はまずそれくらいの間は大丈夫だろうという風に判断しますので、
その間老人検診でプラスが出ましても問題ないだろうと思います。
ただし血尿の程度がひどくなっている場合、おととし±だったのが去年+、今年は3+になってしまったような場合。
これはあきらかに血尿が増加している可能性がありますので、症状がなくても1回検査を受けていただいたほうがよろしいかな、と思います。

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