2002年5月18日

「便秘〜コレステロールまで」
 最近の健康食品事情を考えてみよう!

日本医科大学付属千葉北総病院 栄養科
佐野 真己先生




便秘とは?

三日以上便通がなく、排便時に苦しむ人

便秘タイプ便秘ではない人
・毎日お通じがあるけれど、苦しい
・常に残便感がある
・毎日お通じがあるが、便の量が35グラム以下
・3日に1回しかお通じがなくても、苦しくない

年齢が高くなると、お通じがあったかどうか自覚されていない方もいらっしゃるようです。
3日間を目安に、意識しておきましょう。

便の量

日本人の平均は、150〜200グラム
<めやす>卵M玉1個分 50グラム  イチゴ2個 35グラム

大事なこと
重大な病気が隠れている場合がありますので、毎日自分の便の状態を観察しましょう。

よいウンチ悪いウンチ
・悪臭が弱い
・黄色っぽい
・大きめのバナナ1本分くらいの大きさ
・1分くらいでスパッと出る
・水に浮く
・ペーパーがあまり汚れない
・臭いが強い
・黒っぽい
・細切れ
・時間がかかる
・沈む

どうしてなるの?

高齢者では食事の分量が少ないことが原因である場合が多い

食べ物の流れ
口 ― 胃 ― 小腸・大腸・直腸 ― 肛門

ものを食べると胃がグルグル動き始めます。
この運動が、小腸、大腸、直腸へ伝わっていきます。
腸の神経と大脳の神経は、密接につながっています。
この一連の動きを、「排便反射」といいます。

流れの中のどこかが悪いと、便秘になります。

腸から大脳にいった刺激は、腹筋を動かしたり、肛門を動かしたりする指令となって戻ってきます。
年齢とともに腹筋が弱ってきているので、大脳から指令がきてもあまり動かないことがあります。
ですから、腹筋を鍛えたり、食後に運動をして胃腸を動かすことも必要になってきます。

解消法は?

1.生活習慣のチェック
(食事内容から行動内容まで)
本能的に3食とっているので、細かくチェックできていないと思います。
自分はどこに原因があるのかをしっかり知りましょう。
食事記録・・・お通じがあった前日の食べ方を振り返る
行動記録・・・散歩に行った、などの記録をとる
2.ご飯をしっかり食べる
(便の量を増やす)
女性は男性よりも腸が長いと言われていますので、食物繊維が足りないと調子がよくありません。
3食、ご飯を食べると確かに便の量が増えます。
ご飯よりもおかずを沢山食べて満腹になってしまう傾向が強いので、お米を摂るように心がけましょう。
3.朝食を必ず食べる 朝食を抜くことが、そもそも排便反射を起こさない原因です。
食事間の時間がいちばん空いているのは、夕食から朝食までの間です。時間が空いた次の食事の時が、
腸がいちばん活発になります。
朝食を摂ることは、胃腸の動きを活発にしてくれるので、朝食は絶対に抜けない。
また、朝食が軽すぎてもいけません。
ある程度の量が入らないと胃腸が動き出しませんから、しっかり食べましょう。
理想的にいえば、パン食よりも和食が望ましい。
パン食だと、パンと牛乳・パンとヨーグルトだけで終わってしまい、摂れる食品数が少なくなりがちです。
まず、朝ご飯を見なおしましょう。
4.食物繊維を十分に摂る後の項目をご参照ください
5.食事管理ができない人は
サプリメントも可
独り暮しや遠距離通勤で、なかなか食生活の見なおしが難しいという人は、サプリメントで摂っても構いません。
ただし、サプリメントでは1種類の食物繊維しか摂れないことを忘れないで下さい。
食事の中であれば野菜の食物繊維も海草の食物繊維も複合的に摂ることができます。
また、錠剤で摂ると過剰摂取の危険性があります。
食物繊維が過剰になると、ビタミンやミネラルの吸収を阻害してしまう可能性があります。

食物繊維の必要量

1日20グラム〜25グラム(現在平均13グラム摂取)

25グラムの繊維はどれくらい?

※単品で摂る発想はやめましょう!

栄養士が食物繊維を摂りなさい、というのには便通を整える以外にもよい働きががあるからです。

便通を整える以外の食物繊維パワー

血糖上昇が
ゆるやかに
3食、食物繊維の多い食事をすると、食物繊維が糖分を包み込んで、血糖の上昇をゆるやかにしてくれます。
例えば、ご飯だけ食べた人と野菜をしっかり摂った人の血糖上昇を比べると、後者の方がゆるやかな上がり方になります。
糖尿病の人は、1日のうちの血糖値の高い状態をいかに低く保つか、というのが合併症を予防するうえで大切です。
ですから、血糖上昇がゆっくりであれば、その分低い時間が増えるのでよいということです。
食物繊維は糖尿病に有効である、ということを覚えておいてください。
コレステロールの吸収を抑える 糖分を包み込むのと同じメカニズムです。
卵を食べていない、レバーを食べていない、お肉を食べていない・・・とおっしゃる患者さんが多いですが、こんな例もあります。
1年以上目玉焼き卵を食べていないという患者さん。1年前のコレステロール値と今回の数値を比較したら 上がってしまっていた、というお話でした。
つまり、卵に原因があるわけではない、ということです。
コレステロールを便中に吸着して外に出しましょう。
それでコレステロール値が正常になっていけば、動脈硬化が進まないなどの効果も期待できます。
血圧の低下 食物繊維が多い食事をすると、ナトリウム(塩分)を外に出してくれます。
小腸・大腸を食物が通過する時に、糖分の吸収を遅らせ、コレステロール・ナトリウムを血中に吸収させずに 大腸側に出してくれます。その分、血液中のものが少なくなるので、非常に増えている生活習慣病(糖尿病・高脂血症・高血圧) にも有効です。
大腸ガンの予防(?) 最近、アメリカの研究では否定的な意見が出てきています。
日本人の研究はそろそろまとまる頃だと思いますが、まだ発表されていません。
大腸ガンが日本人に増えてきた理由としては、食物繊維の摂取量が減ってきたことと脂肪が多い食事になってきたことが 考えられます。
なので、現時点では食物繊維の多い食事を心がけてください。
また、食物繊維は腸内のビフィズス菌を増やす働きもあると言われます。
満腹感が得られる ダイエットがしたい、太ってきてしまうという人は食物繊維の多い食事をしっかり食べると満腹感が 得られるので、食べ過ぎが防げます。
どちらにしろゆっくり食べるのが基本です。
ひとくち30回噛みましょう、という運動はかなり浸透したと思いますが、噛むほうだけに神経がいっていると満足感は得にくい。
しっかり味わって、ゆっくり食べましょう。

食物繊維増量計画

精製度の低い穀物を食べる 麦ご飯、雑穀類の利用、うどんより日本そば、食パンよりライ麦パンなど
お米というのは便の量をふやす重要なものです。より繊維を増やすためには、精度の低いものが有効です。
最近スティックタイプ麦、雑穀のものもたくさん出ていますので、いろいろなものをとり入れて楽しんでください。
好みですから、そばが嫌いであればうどんでもいいですが、そばの方が繊維は多いです。。
シリアル類も繊維をうたっているものを積極的に利用してください。
普通の食事では、食物繊維の摂り過ぎの害は絶対に心配しないでいいです。
手っ取り早く繊維を増やすには、主食から。
ご飯の量の目安は、パック入り180グラムで売っているもの。あの程度は食べてもらって構いません。
イモ類を1日一回使用する 煮物以外にも汁物や主菜の付け合せなどに
意識しないと料理に入ってこないかもしれません。
煮物以外のもの、例えば汁物や魚の付け合せなどにも積極的に利用しましょう。
じゃがいもなら1日一個くらい。サツマイモなら1日3分の1本。サトイモなら1日2〜3個。
お通じの調子が悪いかたで、朝食にサツマイモと牛乳、という方がいますすが、ご飯をしっかり食べたうえで 繊維を増やそうということですので、サツマイモはおやつにどうぞ。
大豆他豆類の積極的な使用 レパートリーを広げましょう。砂糖と油としょうゆを使用しない料理
豆類は五目豆やうずら豆の甘煮などワンパターンで、使用頻度が少ない。塩分や甘さを気にする方も多いので、単に茹でる。 茹でて生野菜に散らす。
炊き込み御飯に入れる。
コンソメで煮るだけ。スープ系のもの。コンソメのスープ仕立てにすれば野菜も豆も入る。
ミキサーにかけてスープに入れるなど、いろいろ試してみてください。
野菜の質と重量を考えて 野菜は300グラム食べて平均10グラムの繊維量です。皮、葉を捨てない。乾物の積極的な利用。
1日に300〜350グラムくらいの野菜を食べましょう。
生でも茹でてもなんでもいいですが、1食100グラム食べないと1日分摂れません。
茹でた野菜は片手いっぱいが100グラム。(ホウレンソウのお浸しなど)
生野菜は両手いっぱいが100グラム。(キャベツの千切り、レタス、小口切りのキュウリなど)
食卓に野菜料理を並べても、それぞれがとって食べていると、実はそれほど量は摂れていない。
日常的に野菜が不足しているかな、と思ったら自分の分を取り分けてしっかり食べましょう。
皮や葉の部分に繊維が多く含まれているのでじょうずに活用しましょう。
ダイコンの皮を厚めにむくと、その分繊維が少なくなってしまいます。ゴボウも一生懸命こそげてしまうと繊維が減ってしまいます。
皮や葉を使ったレシピ(ダイコンの皮のキンピラなど)を作る場合は、減農薬のものを使いましょう。
皮や葉には農薬が残りやすいためです。
最近、あまり食べられなくなってきている切干ダイコン、ひじきなどの乾物類。繊維が多い食品です。
切干ダイコンもひじきも水でもどさなくても、そのままお味噌汁にも利用できます。
干しシイタケなどは広口瓶に入れてとり出しやすいようにすれば、すぐ利用できます。棚の奥にしまい込まないようにしましょう。
海草、きのこ、コンニャク類 低カロリーで食物繊維の宝庫です
食物繊維には2種類あって、役割が違います。
ご飯や野菜などに多い繊維は、便の量を増し、腸のぜん動運動をよくする。
果物、豆、海草などの繊維は、有害物質を体外に排出する働き

どちらも大事なので、両方ともしっかり食べてください。

どんな素材も既成概念にとらわれずに、和洋中華と様々な料理に使用して飽きがこないように工夫してください。

★それぞれの家庭で『決め事』を作ると、食物繊維を摂りやすくなると思います★
・サラダにひじきを入れる ・煮物をする時にはコンニャクを入れる ・味噌汁にはキノコ類と海草類をよく使うようにする など

和食は健康食品の宝庫です

朝食例
ご飯(胚芽精米)ビタミンB1、食物繊維、ビタミンE
味噌汁(タマネギ、ジャガイモ)ケルセチン、イソフラボン
納豆(シソ、万能ネギ)ナットウキナーゼ、硫化アリル、リモネン
ブロッコリーのごま和えグルタチオン、セサミノール
トマトとワカメの酢の物クエン酸、リコペン、フコキサンチン
オレンジβクリプトキサンチン、ビタミンC

上記の朝食例を健康食品雑誌風に書くと、右側のカタカナ成分になります。

主菜は、『納豆』になります。主のおかずはたんぱく質のおかずのことをいいます。
納豆だけじゃいやだ、鮭もなくちゃ、目玉焼きも、シラスもなくちゃ・・・ということはやらなくていいです。
主菜は1品 副菜を2品
これが理想です。
朝のおかずは、昨晩のおかずがズレこんで構いません。増やすのは野菜料理です。

単品例 ― 日本のご先祖様は偉大です ―

鯖味噌煮(味噌、生姜)EPA、DHA、イソフラボン、ジンゲロール
長ネギ、しいたけを一緒に煮るとより健康パワーUP
金平ゴボウリグニン、イヌリン、ゴマリグナン
白滝を入れるとより食物繊維がUP
味噌汁の具の組み合わせジャガイモとワカメ、なめこと絹さや、ほうれん草と油揚げなど
かなり健康的

五目豆、おから、炒り豆腐などの大豆料理。サトイモといか、ヒジキと油揚げの煮物、小松菜とあさりの煮浸しなど
昔からある料理は栄養成分の組み合わせが完成されていて、なおかつ季節のおいしさが最大限に生かされています。

欠点は塩分です。高血圧などで塩分を制限する必要がある人は砂糖としょうゆの料理ばかりにならないように、組み合わせに 注意してください。

マスコミ等で取り上げる抗酸化をアピールする成分は通常の和食で普通に摂れるものがほとんどです。
一つの食材のカタカナ成分に惑わされないようにしましょう。

カタカナ成分は間違いではないけれども、食事で摂ることができます。
健康食品に頼る前に、まず三食の食事内容をきちんと見なおしましょう。

明治以降の洋食系食べ物は抗酸化と食物繊維がセットになっていないので、必ず付け合せに野菜を添え
小鉢料理に油を使わない野菜料理を組めば理想的な定食として完成します。

油が大腸ガンの原因になっている可能性があります。
洋食系は油が多いので、小鉢には油を使わない料理を組みましょう。
カレーライスにマカロニサラダやトンカツにポテトサラダなどは油が重複して、高脂肪食になってしまいます。
カレーにしたからこそおひたし、という風な和洋折衷でバランスのよい食卓を作りましょう。


 便秘が治らなくて、かんぽう薬を毎日飲んでいる人がいます。
それはいいのでしょうか?

  口から胃腸、直腸までのぜん動運動が 便通を促します。ぜん動運動は自分の動きなのですが、下剤などを使うとこれを強制的に動かしていることになり、頻繁に使用することで 自分本来の働きが鈍ってしまう可能性があります。薬に頼る前に、自分の生活習慣を見直して、食事なりを改善して欲しいですね。